アートの時間vol.1 「別府で芸術祭をおこなうこと―新しい何かがはじまる予感―」

アート学部の「アートの時間」第一回を行いました。
今年度「アートの時間」では、今年の秋に開催する現代芸術祭「混浴温泉世界 2012」に関わる人たちをゲストに招いてお話を伺いながら、この芸術祭について考えていきます。
第一回目の講師はBEPPU PROJECT代表理事の山出淳也。同じくBEPPU PROJECT事務局長の林 曉甫が、講師や会場の方から話を引き出すモデレーターの役割を務めました。

2005年に、なぜBEPPU PROJECTを立ち上げたのか？というところから話は始まりました。
パリでアーティストとして活動していた山出は2003年の末に「いま別府がおもしろい」という朝日新聞の記事を読んだそうです。
その記事には、「別府のなかに新しいリーダーが出てきている」と書かれていました。
それは、大分市出身の山出が当初もっていた別府のイメージとは、大きく異なるものであり、「ぜひともその方々に会ってみたい」という気持ちが湧いたそうです。
そうして別府に帰ってきて、幼いころのわくわくした大切な思い出がつまったこのまちで、現代アートという価値の定まっていないものがどのように輝くのかを、見てみたいと思うようになります。
BEPPU PROJECTを立ち上げた理由を、一言でいうと「見たことのない風景をどうしても見たいと思った」から。
資金ゼロのところから、当時大学生だった林、家入といったメンバーと一緒になって、BEPPU PROJECTをはじめたそうです。
アーティストとして仕事をしていた山出が、アートを社会に仕掛ける立場になっていくエピソードは興味深いものでした。

その後、竹瓦温泉で行ったオールナイトイベントの話や、県内の小中学校へのアーティスト派遣事業、国際シンポジウム「世界の温泉文化創造都市を目指してー」、platform事業の話が語られました。
そして2009年に開催された「混浴温泉世界 2009」の話。
1度きりのはずだった芸術祭が2回目を目指すことになったのは、波止場神社にいたおばあさんから、
「この芸術祭はもう一回やるの？私は毎年春になったらここに来るからね」
と言われたことがきっかけだそうです。

「混浴温泉世界 2009」を見に行ったという、会場の方の思い出も伺うことができました。
３年も前の「混浴温泉世界 2009」が見に来られた方の思い出として残っていることに、嬉しく思いました。